MooN 〜Holistic Healing Room〜

2度呪詛をかけられて死にかけた話。。『1度目』7

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7

 

朝を迎えても少しのだるさと違和感、そして痺れも消えることはなかった。。日本での連日連夜の悪夢はこちらにきて無くなったけど、なんだかスッキリしない。
空港から気持ちも高まってたのにいつものようにいかないな…。

得たいの知れないよくわからない現象は何度か経験してきているけど、今回のは本当に奇妙でよく分からない。
身体への原因不明のダメージが気になって囚われすぎているだけなのかもしれないけど…

もやもやしながら朝食を軽く済ませ、チェックアウトしホテルを後にした。

街からは90分程だったかな。。
車から見える景色は街をどんどん離れ、道路の両サイドは田畑が広がる景色に変わっていった。

映画で見た昭和30~40年位の日本の田舎の景色のようだなと、初めてきた時に思ったなぁ…。
時々あるヤシの木や小さな売店、家々が今のジャワへ意識を引き戻してくれる。。
いつもこの景色を見る時は、これから何が経験できるか学べるかワクワクしながら眺めていたのに……今回は何なんだ一体!!

気持ちが行ったり来たり揺らぐ事と、こんな体調で楽しみで待ち遠しかった旅に来てることにかなりイライラしている自分に気づく。。

『あーまたやってるわ…』

自分への怒りを手放し切れずにふつふつと怒りに燃えていると、大きなカーブにさしかかり景色がふわっと変わる。木々の隙間から美しい海が遠くに見える。
太陽の光をキラキラと反射させ、木々の隙間からでも遠くても、優しく包み込むエネルギーが伝わってきて怒りが鎮火していく…

このカーブを過ぎたらもう一度ジャングルのようなトンネルに入っていきもうまもなく到着する。

あの海から別の次元に繋がり、その門の先に女神の住む宮殿がある。
これはおとぎ話ではなく、実際にここに肉体ごと連れていくサイキックがいて、歴代のジョグジャカルタ王は人間の王妃とは別に、神聖な儀式を行い女神も王妃として迎えている。

女神には沢山のいい伝説も悪い噂もあるけど、私がここに来る度に感じるもの、受け取ったギフトや沢山の経験はどれも温かくて優しく時にユーモアがありとても愛情深い。
いい話ししか信頼しないことに早い段階で切り替わった。

歌や踊りを愛し、海のホテルで初めて宿泊した日の夜中にはっきりとその美しい歌声を友人たちと聴き、最初はにわかには信じられなかったけど、それが本物だとわかるのにそれほど時間はかからなかった。
魂に届く感覚、見たもの聴こえたもの触れたもの教えて貰えたこと全てが観念を壊していき確信になっていく経験は、帰国後も続いた。

日本で仕事に関して迷っていた時も、部屋でどうしたものかと思いながら寝ようと布団に入った瞬間、窓も閉めた部屋に突然濃厚な美しい花の香りがしてきて、部屋全てがその香りに満たされたと思ったら、高い音で鳴り響く鈴の音が聴こえてきたのだ。。

これは女神の訪れのサイン。

女神の訪れのサインは濃厚でうっとりする花の香りがしてきたり、女神の乗る馬車の馬がつけている鈴の音が鳴り響くと以前聴いたことがあったので、本当に自分が経験できたことに当時は一瞬衝撃があったものの、それ以上に大きな愛情に包まれて感謝と嬉しさに満たされたまま安心して眠りについた。

数回しかお会いしたことがない、そして日本にいる自分をわざわざ気にかけてくださる愛情に、翌朝目覚めてからも深く深く何度も感謝して感動して、絶対大丈夫だとあの日思えたことも思い出した。。

『そうだった…私は大丈夫なんだ。そして今ここにこれた。。女神の元へ。』現象に囚われすぎていた自分が本来の位置に引き戻されていくのがわかった。。

 

駐車場は山の一部のように苔むし度合いが増していて、ホテルは工事が途中の所があったりだけど、ここが再び開いてくれたという感激と車のドアを開けた瞬間から聴こえた波の音、香り、海と山からの風、全てを深呼吸して全身に取り込み身体に満たしていく。

宮殿を模した建物に入りフロントで鍵を受け取ると、相部屋になった友人と宿泊するヴィラへ一緒に向かう。
心地いい風と日差しを浴びながら歩いていけるのはとても気持ちいい。

荷物を置いて、ざっと片付けてから再び宮殿を模した建物内に戻りレストランに行く。

気持ちいい風が建物内を吹き抜け、目の前の海を眺めながら食事を楽しめる。
あの味は残念ながら再現されてはいなかったけど、ここでの食事は高級なレストランよりも今は嬉しく贅沢に感じた。

食べ終えるとIさんから修行を行う場所の説明が始まる。
昼食休憩後から始まる修行は敷地の一番奥のヴィラでやるようだ。

そこは私が初めてここに訪れた時に宿泊したヴィラで、当時はみたこともない色んな形の者達に囲まれ、ひそひそとしゃべる沢山の声にも囲まれながら部屋に辿りつき、何もわからずドキドキしながら扉を開けた事を思い出し懐かしい気持ちになった。

レストランからは歩くと5分前後でその部屋に到着する。
何人かの男性の姿がみえてきた。お弟子さんが準備しているのかな。。
入り口までいくとビーチサンダルや靴が並んでいる。今回は靴を脱いで入るようになっているみたいだ。

挨拶して部屋の中に入ると当時の印象とは全然違い、簡素な部屋になっていた。
床にはみんながそのまま座りやすいように敷物がひいてあり、壁は白く塗り直したのだろうか…何もない部屋は以前よりスッキリとしていて広く感じる。

入ってすぐが20平米程の何もない横長の部屋で、今回はここを主に使用するようだ。
奥にドアが2つ、主寝室とゲストルームになっていたが、奥のそれぞれの部屋もきっと何もないのだろう。

今回の修行の為に設えたような新たな部屋の姿なのかと気が引き締まった。

14時より少し前にはみんな集まり、各々好きな所に座ると、入り口付近にBさんやお弟子さん、前方に数人のサイキックの方と、今回のグルG氏が真ん中に座った。

G氏の近くに通訳の為にIさんも座り静かに自己紹介やお話しがはじまる。G氏が一人一人のエネルギーを見て調節しながら、テーマであるハイアーセルフ、自分と会うための修行が進むようだ。

説明の後に突然こちらに質問が投げ掛けられた。
「この中で霊をみたり声を聴いたりする人はいるかな?」
シーンと静まる空間で手を上げるのはあまり好きではないのだけど、そっと手をあげる。

G氏は笑顔で私の目を見つめて、具体的にどう見るか聴こえるかの質問が追加されてそれに答えると
「じゃあ君は僕の近く、前の方にきてね」
G氏から少し離れた真ん中辺りの列に座っていた私は前の方に移動し座り直した。
他にも手をあげた何人かが移動する。

そこからより具体的に一人一人のエネルギーを細かくみるために、G氏と参加者一人一人が簡単な自己紹介や話をすることになった。
そこでは一人一人にアドバイスがあったりして、それを聴くのも時に楽しくとても為になる。

ジャワではサイキックを囲みメッセージを求めたりアドバイスを戴く時はこうして共有することが多い。
それは、ここにいる一人一人へのメッセージはここにいる全員に意味があり重要だからだと教えて戴いてから、このスタイルにすっかりなれてしまった。

みんなのメッセージを聴いてたら、いつの間にか私の番になっていた。
先程の話でだいたい済んではいたけど、改めて名前など伝えて話をしているとG氏が然り気無く話題を変えて私に問いかけてきた。

「それはそうと、君は…何か星の形をしたもの、または星が描かれた何かを今持ってないかな?」

その質問に目を見開いたまま私は暫く止まってしまった。

痺れと同じように消えないままあるもう1つのもの。
私が持ってしまっている星と言えば、
お尻のすぐ下の右ももにある六芒星の印しかない。

背筋がぞっとした。。!

電車での出来事からももに印が突然出たことを簡潔に説明する。

Iさんが私の話を通訳している間、G氏の笑顔は消え静かに聴かれていたけど、すぐ笑顔に戻り
「その印、あとで別室でこっそり二人きりになって僕に見せてね」
私の目をみつめて冗談混じりの笑顔で話してくれた。

これが何なのか今すぐ知りたいのですぐさま質問したが、後で教えてあげるからねと笑顔でさらっと返されてしまい、答えを知るのはまだ先なようでがっくりしてしまった。

一通り全員への話が終わったら、次は修行に入る前に瞑想をすることになった。

気持ちを切り替えていつも通り呼吸を整え心地よく深く入って行く。。はずだったが、突然お腹の奥から奇妙な感覚が胸元まで込み上げてくる!!
まるで太い蛇がはい上がってくるような奇妙な感覚に引き戻された。
私はその違和感に座っていられず横に倒れてしまい、よく分からない涙まででてきた。。。
この部屋でも海岸でもこんな奇妙なことは一度もなかったのに…やっぱり何かおかしい。

G氏の声で瞑想から全員引き戻され目を開ける。数人へのアドバイスや瞑想の話をしているG氏の声を聴きながら身体をおこす。
話を終えた後にふと真面目な表情になった。

「ここにいる全員のエネルギーの高低が大きいので平均にします」
目を閉じ、何か口元で唱えながら空間を切るように静かに手を横に振る。

先程の奇妙な瞑想からか今の氏の術からなのか…自分への感触感覚が少しぼーっとしてぼやける感じがした。

G氏はお弟子さんになにやら指示を出している。修行が始まるようだ。
みんなに水の入ったラベルもついてない500mlのペットボトルが配られていく。

とある場所にある特別な山の湧水で、かなり険しい山道を登らなければ辿り着けないとても強いパワーを持ち、それを特別な日に採ったので更にエネルギーが強力で違うようだ。

光があまり差し込まない時間帯で電気もつけてない部屋なのに、ペットボトルの水を見つめると内側からぼんやりと発光しているように見える…不思議な水だ。

この水を修行の間に飲みきるようだけど、信じる力を強くする・恐れを手放すということが修行の最初でとても大切らしく、手始めにこの水を使い何かをするようだ。

ふとG氏と目が合うとにこっと微笑み、水をもってここにおいでと手招きされた。
G氏の左側真横に座ると、懐からタバコを出し火を着けて燻らせる。クレテックの香りが辺りに広がっていく。

「この火のついたタバコを食べたら普通は大変だけど、この水を飲んだらできるよ。やってみようか。」

『は?え??!』

拒否も反論する間もなく、水の飲み方、飲んでる間に心の中で言う言葉、秒数など細かく伝えられ、少しパニック気味にそれを行う。

指示通り水を飲み終えると、緊張は取れないがこれを行うことが難しいことだとは思わなくなっていた。。

「さあ、信じて。できるよ。」

差し出されるままに火のついたタバコを私は…口に入れた。
口の中で火が消える音が聞こえ…タバコを食いちぎり噛んでいる。。初めての感触食感が口内に広がっている…

「ほら飲み込んで。」
「ね、大丈夫でしょ。」

Iさん通訳しながら私を見る顔明らかに衝撃的なものを見る顔してる…
私…取り敢えず頷き、静かに自分の座っていた場所に戻った。。。。

いやいやいや…なにこれ?!

私のそんな動揺はお構い無しに、G氏がポケットを探りだし取り出した手には小石がいくつか握られていた。

「次はこれを食べてみようか。奥歯治療してない人がいいかな…歯の丈夫な人はいるかな?」

 

 

つづく

 

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