MooN 〜Holistic Healing Room〜

2度呪詛をかけられて死にかけた話。。『1度目』 4

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1話目

・・・・・・・

4

 

平らな石の上にうつ伏せで寝てる。
左側を見ると何人かが遠巻きからこちらを見ている様子が視界に入るが、視界が少しぼやけてよく見えない。石積の部屋のようだ。ここは牢屋だろうか…

私の体よりひとまわりほど縦横大きい長方形の石の塊がいきなりうつ伏せの背中に乗せられる。
重い…潰れてしまう!!
焦って暴れると石の塊が左側にどすんと落ちる。
助かった。。
遠巻きで見ていた人々から恐怖の声や悲鳴が部屋に響く。。

 

嫌な感覚の余韻が全身に残ったまま目が覚めた。
『嫌な夢。。』
今日の悪夢は嫌なリアルさだ…

風邪も回復し元気になったつもりだったのに、顔の左側に痺れの症状が突然ではじめていた…そんな矢先の悪夢。
『色々重なるな…』

そういえば、、少し斜めになって頬に当たりそうに出てる左上の親不知が気になっていたんだった…それが悪さでもしてるのだろうか?

以前歯科の先生は気にしなくてもいいと言ってくれていたけど…明日予約をとろう。とりあえずもう少し寝ないと。。。

 

2度目の眠りは夢も見ず朝まで眠れた。歯科へ電話をすると直ぐに診てもらえることになり手早く支度をして向かう。

『うーん…これといって何も無いけどな』
レントゲンと口内を見て歯が原因ではないだろうと先生は言ってくれたけど、少し虫歯にもなってるということで、その日に親不知を抜いてもらうことにした。

『こちら抜いた歯ご覧になりますか?』
差し出された歯を見た時に背筋がざわっとする…。少し虫歯になって黒くなっているだけの歯なのに嫌な感覚だ。

受付で薬などを受け取り歯科を後にする。
帰り道でさっき感じた漠然とした嫌な感覚が胸の辺りに広がりはじめる。自分に何かが起きている。
仕事柄出来る限りのことはしているけど、、これはいつもと何かが違う。

ぶつぶつ考えながら帰宅し、スーツケースを開き旅の準備をしながら気持ちを静かに切り替える。
歯も抜いたしそろそろしびれは消えるだろうと思いつつも、病院へ行き検査する可能性も考えてスケジュールを脳内で確認…旅までもう数日しかないというのに。。

準備しながら色々考えていたらあっという間に夜は更けていた。
『そうだ…抜歯したんだから早く寝なきゃ』
感情を手放し深い眠りに入っていく…

 

 

身体にしっかりと巻き付けられた縄。。動けない。
視界が揺れる…縄が引っ張られて上に引き上げられているようだ、、大きな石畳の地面から足が離れていく。
遠くには太陽の光をうけて光る雪化粧の美しい山々、オレンジやレンガ色の屋根の家が並び、手前には沢山の人達がいる。

自分のすぐそばには石積みの美しい塔がみえる。
縄のすれたりきしむ音と引き上げてた動きが止まる。
周りを見ていたらいつの間にか遠くなった石畳と目があった気がした。

その瞬間ふわっと無重力になり、景色は急速に反転し目があった地面は視界から消え、空を見上げながら落ちていく。

鈍く嫌な音が首から体内に響いた。上げたり下げたりを何度か繰り返されて地面に叩きつけられる。
不思議と冷静で痛みもない。

首が折れたんだという確信と共に力が抜けていく…死んだという気持ちが静かに広がり視界が徐々に暗くなる。。。。

 

『昨日の続きか…』

眠りから覚めているのに妙な余韻がある首をさする。視界は青空から自分の部屋の見慣れた天井になっているが安心感はない。
自分が今どこにいて何が起きているのだろう…視線を横にそらすと準備をやり始めて開いたままのスーツケースが暗い部屋で鈍く光っている。

『私…行けるのかな?インドネシア』
じわじわと顔の左側に深く根をはるように痺れが広がっていく…

これは病院に行って解決する問題ではないかもしれない。。

 

つづく

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