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「ほら、みてて。」
並べた小石の中で一番大きい石を選び、みんなに見せてから口に入れると、まるで堅焼きせんべいのかけらか氷でも食べるようにガリガリバリバリ音をたてて噛んでいる。
「ね、信じてやってみて。」
小石を口に入れたものの、噛めずにいた立候補者数人に手本を見せる笑顔のG氏。
手でももちろん割れないし、床に石を何度か強く叩きつけても割れず、明らかにかたい音をしていた。
もう1つ石を手に取りまた口へ…笑顔でバリバリ噛んでいる。
もうお菓子にしか見えない。
「私できるかも!」
それを後ろから見ていた一人が新たな立候補者となると、更に笑顔になり手招きする。
小石を手渡された彼女は口に躊躇なく入れてすぐに音をたてて噛みはじめ、その姿に目が釘付けになった。
それに続くように最初の立候補者のみんなも音をたてて噛みはじめ、部屋にいる参加者みんなが驚きながら笑顔になっていく。
噛んでいるのは明らかにかなりかたい石なのだが、バリバリ音をたてながら噛んで笑顔で会話している姿はまるで、美味しいお菓子あるけど食べる?的なかわいい集まりにしかもう見えない。
『みんな凄いなー…』
G氏と目があっても速攻で首を横にふって石は辞退し、その驚く光景をしみじみと見つめながらタバコの余韻も感じてると制限が外れて観念が壊れていくのがわかった。
そして、自分のエネルギーが下がっていたのだと自覚する。
パワフルな友人たちやこの場にいるみんなの凄さに感謝やら楽しさや嬉しい感情が沸き上がってきて思わず感激しながら笑いがどんどん溢れてきた。
みんなとなら自分のエネルギーを回復させてもっと高めていけると思ったら、元気もエネルギーも溢れてきた気がした。
軽い休憩が入り部屋の外に出ると制限を越えたり未知なものを受け入れるのに役立つよと、サイキックの一人が手品を見せてくれた。
「1000ルピア持ってる?」
ちょうど持ち合わせていた一人から受けとるとそれをぱっと5000ルピアにして返してくれた。
他にも妖精が布の下にいるといい、何か生き物が本当にいるように突然バタバタ動いたりふわふわ浮いたり、楽しい手品をコミカルに見せて笑わせてくれた。
わざと大袈裟にコミカルに見せてくれてるのかなーと思っていると、いつの間にかIさんが近くにきていた。
「彼らは違う次元を自由に行き来して、違う次元の物やお金をこちらの世界に持ってきて使ってるのよ。」
本来はトリック無しでもっと凄いことができるのに、コミカルに手品を見せてくれるって深いな。。
別の次元の存在は、インドネシアに関わるようになってから嘘でも空想でもなく真実なんだということはまざまざと経験して知ってはいるけれど、往来はまだ自分の身体で経験してないのでここ数年とても気になっていた。
正確には数年前女神の宮殿に行く予定だったけど、悔しいかな時期などのタイミングが合わず断念した。
私達と同じタイミングで謁見のお願いをしていた某位の高い凄いお方までも許可がでなかったと後から聴いて、そんなすごいお方までも許可がでないなら私達は完全に仕方がないと思いつつ…ひそかな夢になっていたのだ。
その時に別次元の行き来や、別の次元の物をこちらに持ち込む時に使う特別な”ある物”を改めて知ることになった。
その”ある物”を使わずにさらっと色々別次元とのやり取りを出来てしまうサイキックもいらっしゃるけど、これはある種の”燃料のような物”だと聴いたことがある。
個人的に手にすることは難しく、特別なサイキックしか使えないし購入することも出来ず高額。それは一見そんな特別なものに見えないし、きっと私の部屋にあっても誰も気づかない。
何度も見ていたのにそれがそんな凄いものとは知らず、かなり魅力的で気になる物だったので、何も知らなかった頃気軽に欲しいとお願いしたこともあったなー…
実際にその”ある物”を使うところや、それにより別の次元から物が突然出現したのを目撃することは経験している。
そして現れたその別次元からの品物も大切な宝物としてずっと所有しているけど、、今気になるところは、
『自分が自覚をもって違う次元を行き来する感覚はどんなものだろうか…?』
に興味津々なのだ。
別の次元の世界はどんな場所かの話を聴くばかりで興味が募り続けていた。。
「あはははははっ」
笑い声で完全に意識が戻ると手品は大盛況で終わっていたので拍手をする。
『彼らはどうやって行き来してるのだろうか?この2日間の修行で私達はそこまでは行けないものなぁ。。』
ぶつぶつ独り言をいいながら部屋に戻ると大きい金属のような棒をG氏が持っていた。
よく見るとダウジングに使うLロッドのように見えるけど、少しそれより大き目だろうか?
「これを持って質問してみてね。YESならこう動くよ」
G氏が動かないまま無言の時間が数秒、、突然棒が思い切り振り切って右に動いた。
動く早さも関係していたり、わからないときや迷いがある時は動かないようだ。
エネルギーの基本、伝わり方などの説明からはじまり、みんなからの質問にもG氏が優しく返答して、わいわいと部屋は賑やかになっていく。
『誰か今試したい人いるかな?』
いつもIさんのセミナーで楽しい質問をしてくれる一人が面白おかしく悩みを話してくれて、聞きたいことを2つ用意した。
Lロッドを握り1つの質問に集中するとロッドは微動だにせず、次の叶ったらいいなと思える質問には勢いよくYESを示したので、部屋には祝福の拍手が響いた。
みんなもやってみようと、順番に試していく。
ロッドの動きは迷いや雑念が強いと本当に反応しないし、繊細でとても正確なようだ。
あれこれ試したりして笑い声が絶えずみんな楽しそうにしている。
色々考えずに今を感じて楽しめと言われているようだな…
独り言を心から外して私もまっさらになって質問することにした。
『さて…何を聴こう』
部屋の扉や窓は開かれていて、そこから外の景色が見えていた。
夜が訪れ、辺り一帯夕闇に包まれて色が静かに深く濃くなっていく。。
波の音は地響きのように低く響き、夕闇に溶け込みながらも藍色に光り輝く海が目に飛び込んできた。
海を見つめながら集中し心の中で質問する。
『女神…私が日本にいても、仕事の時や何か儀式をする時など、あなたを呼ぶ時、私にいつも力を与えてくださり助けてくれますか?』
すーっと静かに右に行ける限界までロッドが動き振り切る。
ちょっと泣きそうになりながら海に向かって強く心を込めて感謝を伝えた。。
『今は今を丁寧に感じて味わい修行に励もう!』
夜中まで続く修行の後半前に夕飯休憩が入り、レストランにむかう。
到着するや否や、私は参加者の女性達に取り囲まれた!
「ねーねー。話してた六芒星の印ってどんなの?みせて☆」
『いやいや、印あるのってお尻のすぐ下だよ?こっここのきわの部分のすぐ下だよ?』
「知ってる知ってるさっき聞いたもの。」
『いやいやいやいや、ここレストランだよ?公衆の面前で尻を出せと?!』
「だいじょーぶだいじょーぶ、私達で囲ってるし、他の宿泊者もサイキックの人達も今いないから平気平気♪」
『。。。。。』
『もぉぉぉぉ~しょうがないなぁ~。』
しぶしぶ従い、バティック柄のラップタイプのパンツの巻いてある所を開き隙間から印のある場所を出した。
「うわっっ……ホントだ。。しっかり六芒星!」
笑いと興味と適度なドン引き具合と…色んな話が飛び交う。
「やられちゃったね~…やっぱり宇宙人かなー?」
『だとしたら、ベランダから不法侵入とか寝てる間の誘拐じゃなくて、玄関で挨拶して許可を得てから入ってこいって、今度会ったら性根叩き直してやるっ!!』
お尻だしながら力説しても説得力ゼロだし、何かをやられちゃった感は否めなくなってきた…
現実から距離をひいてみても、気のせいでも何か病気なのでもなく、異様な違和感だけが浮かび上がって見えてくる。
宇宙人にしても別物にしても、どんな理由で私に何をしたいのだろう?
G氏は後で教えるって言ってくれたけど、夜の修行中にはわかるだろうか??
用意されていたビュッフェの料理をお皿に取りながら、早く知りたい解決したい欲求がまた強く沸き上がってきた。。
つづく