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裏庭 (新潮文庫) 価格:¥ 620(税込) 発売日:2000-12 |
もうだいぶ前の作品なので、すでにご存知の方も多いかと思うのですが、、、、
最近、梨木さんの小説をもっと読んでみたいなぁ~と合間を見ては読んでいたのですが、この作品には衝撃をうけました
梨木さんの小説には、生と死「ひとはなぜ生まれそしてどう歩みそして逝くのか」そんな一貫したテーマを感じていました。
そしてこの裏庭では生と死のつながりや、生きるという過程で全ての人々が傷を心に抱えているということ、その傷と共に生きるということも描かれています。
・・・まっさらな気持ちで読みたい方はここから先は読まないでくださいね・・・
この小説で、癒し市場というところが出てきます。これはヒーラーになろうとしている人はぜひ読んでもらいたいなぁ~と思います。セラピストやヒーラーになる過程で必ず全ての人々が、大きな闇をぬけて、そして自分を見つめてこの職につく意味を身に刻みます。。。
自分の傷を見るよりもはるかに人の傷を癒し満足する方がいい・・・という人々がこの市場には沢山いました。これは小説の世界だけでなく、今確かにこの癒しというマーケットの一部にはそんな場所が存在します。果たしてそれが本当の癒しなのか。。。それは違いますよね。
『傷を恐れてはいけない』
『自分の傷に自分自身をのっとられてはいけない』
『傷を育んでいく事そこからしか自分は生まれない』
この大切なメッセージが後々にとても大きなキーになってきます。
傷は癒すというより見つめそして取り込み、昇華させていくもの。忌み嫌うものではありません。恥ずかしいことでも失敗でもない。そして傷は誰かがつけるものではなく、自分が傷ついたと思うことではじめてそれは傷になります。
この小説は物語を通してとても優しく暖かくそれを教えてくれます。
誰もが人生を生きる過程で、裏庭で主人公の女の子が経験することを経験します。自分とは一体何だろう、、、?と。
私は自分が経験したことが、この裏庭での出来事と重なることがあり。。。もっと早く読みたかったなぁ~という思いと、今出会えて解放された何かがあったような気もしました。
繰り返し読みたい感じですよ!そうそして、、、大切な言葉。。。
裏庭へいくための呪文、、、
「フー・アー・ユー」
「テル・ミー・・・教えておくれ」
「アイル・テル・ユー」
誰と聞かれて、教えてというと・・・教えてあげると答える裏庭。。。そう誰もが自分が何かを知りたい。。。でもそれは外にあるのではなく、常に私たち自身の中にあるのだと。裏庭での経験は教えてくれます。
裏庭は全ての人々に用意されていると確信できる、その時その時で、きっと見えてくる景色と感動が変わってくる深い作品でした