MooN 〜Holistic Healing Room〜

2度呪詛をかけられて死にかけた話。。『1度目』9

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9

 

『…やっぱりか』

食事を終えて部屋に戻り舌を出しながら鏡とにらめっこしている。
よくみると舌の真ん中に小さいが赤くなっている部分を見つける…あのタバコだ。

食事中にどうもヒリヒリしみると思ったら…顔のしびれの次は火傷か。

やはり水を飲む時の緊張がだめだったかなー。。
でも原因がわかるだけいいか、、とりあえず笑っておこう。

自虐とため息をつきながら部屋を出て、修行するヴィラに向かって歩いていると、BさんとIさんがヴィラのバルコニーにある椅子に座りながら話をしている。

『火傷の事伝えておこうかな…』

手をふると返してくれたので、かけより挨拶してIさんに火傷を伝えると、、
「え?大丈夫?!」
その反応をみて心配そうにしているBさんにIさんが通訳して私の事を伝えると、静かに話してはいるけど明らかに怒っている…はじめて怒っている姿をみた。

「女の子にタバコを食べさせた上に火傷もさせるだなんてあの人に責任とらせなければいけない!!どうしてくれるんだって責任とれといってやりなさいっ!!!」

わが娘かのように怒ってくれているBさんの優しさに心が温かくなり思わず拝みたくなった。。
Iさんの通訳を介してかなりの愛情を受け取れたので、G氏に伝えますと言いつつもなんだか満足してしまい、二人に感謝を伝えてさらに歩きだす。

すっかり夜も深くなり、少しひんやりした夜風がとても心地いい。動物や虫の声、波の音がヒーリングミュージックのように心身に染み渡っていく。

心地よく歩いていると、夜風にのってひそひそと人の話し声が聴こえてきたので目を凝らして辺りをみてみると、こちらのヴィラのバルコニーの椅子にも人影が見えた。
友人Yさん、Bさんと同じく現地でいつもサポートしてくれてるAさん、サイキックの一人が話をしていた。

『何してるの?』
「今ね、悪いものをとってくれるっていってくれたからやってもらってたの。頼んでみる?」
『いいの?』

サイキックの方も笑顔で受け入れてくれた。
この方は、精霊やエネルギーが宿る道具や石を扱っていたり、植物や、虫の毒などにもかなり詳しく、それらを使って特別な力を持つ道具・治療具を作っていたり、インドネシアのあらゆる不思議なものに精通している。
…いわば魔法具屋さん的な側面を持ち合わせたサイキックだ。

Yさんが席を譲ってくれて氏の隣に座ると、私の手をとり掌に綿のような白い物をのせると、手を私に向かってかざして、肩から1センチ上を撫でるように掌までまでおりてきた。

「…二人の女性にとても執着されてるね…その念をとりますよ。」
『女性ですか?2人も??』

私の言葉に氏は頷き、手に乗せたものに火を付けるとぶわっと大きな音を立てて火は燃え上がり消えてしまった。

熱くもないし、手には何も残っていない。。
男性二人が私を取り合ってるモテモテ話じゃなかったかー!と言うと友人とAさんが笑ってくれた。

氏に感謝を伝えると笑顔でこたえてくれた。
そろそろいきますとお辞儀してその場を後にする。

…執着の念を付けたままで気づかないなんて、職業的にダメダメだ。。。そこまでエネルギーが下がっていたということか…。
お陰様で気づけたものの、いつも出来てることができてない自分の不甲斐なさにがっくりする。
早くエネルギー回復させねば。。

ぶつぶついいながら歩いていると修行するヴィラの明かりがみえてきて、入口に人影となにやらいい香りがしてきた。

1斗缶のような黒い容器から煙がでてる…。あれから香っているのだろう。
二人の男性が様子を見て火の調節をしてるようだ。。

香木と好きな樹脂の香りが絶妙にブレンドされているような、、近づくほどうっとりする香りに全身が包まれていく。

香りを深呼吸しながら全身に取り込み部屋に入る。
次第にみんな集まってきて、最後にG氏が入ってきた。
深夜まで続く修行のはじまりだ。

「見えないものを見る時にはどのような脳波になっているか知ってますか?」
G氏はアルファ、ベータ、シータ波と脳波の説明をはじめた。
それぞれの特性説明の後、見えないものが見えている時にはベータとアルファのちょうど間の脳波になっているということと、これからそれが起きやすい空間をつくり体験していくということらしい。

「これからこの部屋の明かりを消して、皆さんには部屋を出てもらいます。」

「何人かで組んでもらい真っ暗の部屋に入り、少しの時間部屋の扉を閉め密室にします。入り口からすぐのこの部屋には四隅にそれぞれ一人ずつ座り、ほかの2部屋にはそれぞれ2人ずつ入り、目は閉じずにいて、意識を集中してください。」

「…それと、何か見えても驚いて悲鳴あげたり、絶対に声は出さないでね。」

G氏が笑顔少なめに説明を終えてみんなで部屋を出た。
部屋の電気が消えると、月明かりとその光を受けて輝く海が闇から浮かび上がり神々しさを感じる。不思議と周りの木々も月明かりをうけて光って見えてきた。

部屋には先ほどの1斗缶のような容器をもってお弟子さんが暗い部屋の真ん中に置いて出てくる。

その時G氏は崖のギリギリまで行き海を見ながら何かをしているが、ここからだと背中しか見えない。

しばらくしてこちらに戻ってきた。
「では、1組目から入ろう。」

ざっくりと別れてグループを2組つくり、1組目になった私は暗い部屋に入っていく。
部屋に入ってすぐの左側の隅に座ることになった。
2つの部屋にも人がそれぞれ入り、入り口も含め部屋の扉全てが閉められる。

窓からの月明かりはあるが殆ど部屋の中は見えず、隅に人の気配や形は見えるけど誰がどこにいるかはわからない暗さだ。

静寂の中、香木と樹脂が焼ける音だけが響き、煙と香りが辺りに広がっていく。

間もなく暗さに目がなれてきて煙が上がる様子が見えてくると、閉まっていたはずの入り口から音も立てず優雅に歩く女性が静かに入ってきた。

アシンメトリーの長い裾、動いた時に見えた足は裸足だ。
体にフィットするイブニングドレスの生地はサテンかシルクだろうか?
髪の毛は長く、少し濡れてる髪の毛を揺らしながら辺りを見渡している。

じっと目を離さず見つめてると、その女性と目があった。
こちらに歩いてきて座っている私の前まできてしゃがむと、私の顔を覗きこんだ。
目がくりっとして少しあどけなさも感じるがとても美しい顔をしている、、もしかして女神?

いつもよりメイクなどもナチュラルな印象で20代位にみえる。。いや…いつもって…こんな近くで見たのは初めてなのだから変な言い方だ。

声は出すなと言われたけど、テレパシーで話しかけてよかったかG氏に確認しなかったことを後悔した。
何も言わない私の目をじっと見つめて首をかしげる。
そのしぐさはとても愛らしく人懐っこくて親しみを感じた。

やっぱり話しかけてみようと思った瞬間、ぱっと立ち上がり私と対角線にあたる隅に向かって歩いていき隅までいくと踵を返し、右側の部屋に入っていった。。音もなく静かに全ての出来事が起きてあっという間に過ぎ去ってしまった。

ガチャンと扉が開いた音が静かな部屋に響き、終了を告げられる。

私達が出て二組目がすぐに入り、再び扉が閉められると、また静寂に包まれた。
月明かりを浴びながらバルコニーの床にそのまま座り込み、ほっと一息つく。
しゃべらなかったらそりゃどうしたかと思うよなぁ…。

しかし、あそこまで近くで見たことがなかったので、少し確信が持てなかった。。やはり女神ではなかったのか??いや…でもあのエネルギーは確かに女神だった。

心の中で独り言いいながら先ほどの体験をふりかえる。

後でみんなにも聴いてみよう。。

月明かりで輝く海を眺めてると心の独り言すら騒がしく感じてきた。
少し静寂に身を任せたくなり、瞑想をはじめる。

 

 

ガチャンと扉が開いた音で意識が戻り、部屋の明かりがついた。
眩しさに目を細めながら、煙の立ち込める部屋に入り定位置に座る。
窓も扉も開けられて、空気も先ほどまでの雰囲気も完全に入れ替わっていく。

「さぁ、みなさんの見たもの経験をシェアしてください」

G氏が笑顔でみんなを見つめると、ぽつぽつ手が上がり、シェアがはじまった。
面白い体験をみんながしたようで、色んな物が出てきたり感じたり、興味深く面白かった。
「誰か人を見たとかあるかな?」

同じグループになっていたYさんがG氏に指名される。
確か私の対角線上の隅にいたな。。
「女神がきました。」

「実は女神も呼んだんだよ。入っていったのは見たんだけどね、そうかー、よかった。」

やっぱりそうだった。よかった、、ほっとしてYさんの後に自分の体験もシェアする。
G氏はみんなの体験した話を聴き終え満足そうな笑顔になった。

「少し休憩して、その後に彼に案内してもらって海岸で瞑想してもらいます。」
G氏がいつの間にか来ていた新しいサイキックを紹介してくれた。

みんなでわいわい話をしたり、ホントに軽めの休憩を少し入れたくらいで部屋を出る。

海岸へ降りていく階段は崖沿いに作られたもので、足元もガタガタしていて月明かりが届かない所もあるため、何人かが懐中電灯をもってみんなで夜の海に行く。

低く深く鳴り響く波音は、海岸へ降り立つと人の声が聴こえないほどになり、サイキックとIさんの声を聴き逃さないように耳をすます。

何度きても夜の海岸は神秘的で美しく違う世界に来たように感じてしまう。昼とはまったく別の姿に畏れ多さと敬愛と、来ることを許してもらえた感謝が入り交じる。

「これから一人ずつ順番に歩いてもらいます。ここが一番いいと思う場所まで歩いていき、そこに座り瞑想を始めてください。」

砂の感触を足裏で感じながらゆっくりと歩き、自分がいいと思う場所がみつかると、静かに腰を下ろし目の前の海を見つめる。
上から見ているより光り輝いて見えて引き込まれていく。

月明かりを受けて光っているというより、海そのものが発光して、波の一つ一つが生き物のように動きながら光を放っているようだ。

先ほどの女神への無礼を謝罪し感謝を伝えてから瞑想に入っていく。

目を閉じると私は瞬間に別の世界にいた。
暗闇の中に立っていて、遠くに緑色に輝く美しくデザインされた柵のようなものをみている。
そこを越えてしばらく進むと大きな門が見えてくる、、この先が宮殿だと思うのだけど、いつもここでストップしてしまう。
今夜はいつもより早くここにたどり着いた。

何度も瞑想では来たことがあるこの場所、、固く閉ざされている門を見上げて、この先の世界がどんな場所だろうかと思うと、突然美しい庭園が見えた。

意識は門の前のままで動けないが、美しく手入れが行き届いた庭園の草花や木々が映画のように見えてくる。
こんなステキな世界なのか…。

そう思った瞬間に意識は再び門の前に戻り、そして深い瞑想に入っていった。。

 

 

つづく

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