MooN 〜Holistic Healing Room〜

2度呪詛をかけられて死にかけた話。。『1度目』13

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13

 

G氏は沢山の存在が元の場所に帰れるように崖の方へ行き、大きく手を動かし何かをしていて、私はその背中を呆然とみつめている。
月明かりで光る波に何かが吸い込まれて行くような気がした…空や海、山、それぞれ来てくれた存在が帰っているんだな。

集中力切れた後何度かチャレンジしたものの、一番集中した所を越えることなく終わってしまった。
何か方法があったのか…?ベストを尽くせたのか、不完全燃焼でもやもやしている。。。

とぼとぼとヴィラに戻るととんでもないことが起きていた話が聴けた。

みんなの荷物もあるとのことで念のため電気を消したヴィラに残ったAさんは、スタートしてまもなくヴィラが歪むほど大きく揺れて、天井が落ちてくるか倒壊する危険を強く感じ、こりゃ地震だと思って外に飛び出したんだけど、、外は揺れていなくてヴィラだけが異様な揺れかたをしていたらしく、恐ろしくてヴィラの中には終わるまで戻れなかったようだ…。

外は外で、別の次元から違う生き物や蛇もかなりの勢いで突然出現し…この地に元々棲息する蛇とごっちゃごちゃにまざり、足元が大量の蛇で大騒ぎでずっと立っていられずみんなで飛び跳ねながら動き回っていたという…。

飛び跳ねる姿を想像するとちょっと笑っちゃうけど、大量の蛇を想像すると笑顔も完全にひきつる。

そんな壮絶な中にいたのに、Iさんが「凄かったのよ。」と話してくださったのが私達のことだった。
皆がうまく集中していると、円になった私達の頭上に、回転する大きな光の輪が現れていたようで、それはとても美しい光だったと。。
それがふっと消えちゃうタイミングでG氏が指示を出していてくれたようだ…。

そうだったのか…足元に蛇の大群がいる中で、それを通訳していたIさんに申し訳無くて頭が上がらない。。

聴くほど周りの大変さに驚きながらも、次があるのなら私は外から見る側も経験したくなった。

回転する光の輪を見てみたい…。

「皆さんどうでしたか?どんな体験をしましたか?」
G氏が笑顔で定位置にお座りになり、シェアが始まった。

ポツポツとはじまる話はどれもびっくりで、どうやら個々に色んなことが起きていたようだ。
花瓶近くにいた皆さんは花瓶の水を盛大に浴びることになり、あの暗い中で密かに大騒ぎだったらしい…

他にも白い猿が現れて口から入ろうとしてたなんてショッキングな話もあり、同じ場所にいたはずなのに、違う場所にいたのかなと思うほどだった。

少しの間…空間や空気全てが震えて別の世界に一人いたような感覚の時に、私は本当に違う所に行っていたのかもしれない…。

みんなもそれぞれが重要な世界の中に入って何かを受け取って経験して戻ってきたのかな。。

不完全燃焼なもやもやが消えていく気がした….。
もっと出来たのかもしれない。
でも出来なかったことにひきずられているのも何か違う。

まだまだ未熟な自分の癖なども気づけたし、沢山のギフトや経験を惜しみ無く受け取れた。
今回達成することができなかったテーマ含めて諸々、帰国後の課題と宿題にしてまた頑張ろう。

「では皆さん、中心にスペースをつくって輪になってもらっていいですか?
うしろの人達は立った方がいいかな?」

シェアが終わったタイミングで、位置を移動してみんなでざっと輪になった。

その中心にGさんが、、あの卵の入った容器を持って中心に置いた。
近くでよく見ると、卵の表面には墨のようなものでアラビア文字のようなものが書かれている。

ほとんどの卵は白に黒い字なのでよく確認できるのだけれど…
真っ白の卵の中に、5つほど墨とは別の黒ずみがあり、へこんだり溶けたかのように一部が歪んでいる。
軽いものが3つ、、1つは一部分が黒く溶けていびつな形に変わっている。

もう1つは…完全に真っ黒で半分以上というより殆ど溶けて朽ち果てようとしている。
中身が出てないのが奇跡に感じるほどだ。
腐った臭いとも違う奇妙な異臭と気持ち悪さを感じた…。

「これは修行期間中ずっとこの部屋にありました。」

「これは…一つ一つがそれぞれ皆さんの身代わりです。皆さんについた悪いものやあらゆる良くないものを、身代わりになり全て吸収してくれました。この黒くなってしまってるのがそうですね。」

ずっと部屋にあったというのも自分の見えてなさ加減にびっくりしたけど、そうだったのか…身代わりだったんだ……

この一番朽ち果てているのは自分なのだなと直感した。
この卵がなければ私は今頃この卵のようになっていたということか…。

「もう皆さん大丈夫ですからね。こちらでこれは処分しておきますから。」

さっと卵が持っていかれる。
そして最後のご挨拶とともに、2日間の濃厚な修行が終わってしまった。

みんなそれぞれ動きだし、外のバルコニーで歓談する声も聴こえはじめる。。。

あっっ!

そうよ!私聴かなきゃ!!
お尻の下につけられた六芒星のこと!

何だったのか教えてくれると言われたままそのままだったことを思い出す。
しびれもなくなり、あまりにも色々濃厚に経験していたので頭から抜けていた。

そっとバルコニーを覗くと既にG氏に個別に質問する人が数人待機していて、Iさんがそばで通訳している。

個別になるまで出来なかったお話しをされてる様子なので、今回はお話しが聴こえない位置で待っているようにした。

暫くすると順番がきたので、ずっと聴きたかった六芒星の印のことを質問する。
Iさんが通訳すると、少し間があり答えてくれた。
「…そうだね、、、悪魔とまではいかないけれど、あれはとても良くない”呪い”だったんだよ。」

「残念だけど、その印はずっと消えないかもしれない…」

月明かりのバルコニーで真剣な面持ちで残念さも込めてG氏は伝えてくれた。

唖然として言葉がでない。。呪い?

「でも、あの卵が全部身代わりになってくれたからもう大丈夫だからね!安心してね。」
優しい笑顔にすぐ切り替えて私の目をみてくれた。

あの印はまさに呪いの焼き印だったってことか…。

聴くにも聴きたい質問がその場で出てこなくて、お礼を伝え次に待っていた友人とかわった。

月明かりの道をゆっくり歩きながらヴィラを出て部屋に向かう。。

有名人でもないひっそりと活動しているセラピストに、綿密な準備や正式なやり方が必要な呪詛を誰が……?

念や生き霊なら正式なやり方なんてのは特になくともどこにでもあるし、こちらも気付けるし対処できる。
他の類いに襲われることもここ数年は完全になかった。

あの異様な感覚、起きたこと…あれが呪詛をかけられるってことか…。

…私を陥れたいか殺すほどの?

それほどの怨みを受ける心当たりもないし、まして私を怨みつつそれほどの術を成功させる技量をもつ人に心当たりがない。。

…いや……やめよう。

お陰様で旅前に抱えていたものを全て取り去ってくださり、それが呪いだとわかったのだし、G氏も大丈夫だというのなら深追いしないでおこう。。

あの卵を思い出すとゾッとはするが、これで終わりでいいんだ。

今は沢山のいい経験とギフトを戴けた感謝と余韻に浸りたい。
そうだ、女神にも沢山感謝しなきゃ!

。。あの庭園、門の先の世界。美しいあの世界はすぐ隣に存在していた。
今度は伺えるといいな…。

部屋で荷造りしながらこの場所から離れがたい気持ちが込み上げてくる。。
濃厚な2日間だった…もっと沢山いたような、あっという間という感覚ももちろんあるし、時間の歪みを感じる不思議な期間。
ここはやっぱり特別だ。

また必ず泊まりにこよう!!修行もまたやりたい、煙草は絶対次回は断ろうっ☆
…次の時にはもっと成長して、色んな経験を躊躇なく全身全霊で受け止めるぞ!

なんて興奮するのはそこまでにして、荷造りも終えたし、シャワーを浴びて早く今夜は寝よう。
この部屋で過ごせた余韻にも浸りながら、修行期間最後のここの朝食は食べておきたい。

明日はゆっくり午後になっての出発で、素敵なレストランやお店に寄り道しながら初日に宿泊したホテルに戻るコースだと先程伝えられていた。

明日の楽しみは明日に…波の音を聴きながら眠れる最後の夜…大切に過ごそう。。。

 

 

 

深夜に寝たというのに朝の目覚めはかなりスッキリ気持ちよく、朝食も朝の心地よい空気とともに味わえた。

宿泊した部屋にお世話になった挨拶をして鍵を閉めるとなんともさみしい…。

友人とゆっくり歩いて海や景色をみながらレストランに再び行くと、サイキックの皆さんも私達の見送りに来てくださっていた。

チェックアウトを済ませて、レストランにいらっしゃったサイキックの皆さんにご挨拶をして、近くの席にいる友人たちと合流した。
みんなもそれぞれこことのお別れを楽しんでいるようで、海にもう一度行ったり出発ギリギリの時間まで色々動き回るようだ。

友人の一人が美しく繊細な細工がされた干菓子の詰め合わせを持っていて、サイキックの皆様にお礼でお渡ししたいから通訳してと頼まれた。
簡単な言葉にしてねと友人にお願いして、僭越ながら通訳に入る。

これまでの感謝やお礼とともに、「日本の伝統菓子です。皆様で召し上がってください」とお渡しすると、ご謙遜されつつとても喜んでくださり受け取ってくれた。

ジャワのサイキックの皆様は本当に温かくて美しい…。
このやり取りで嬉しさを感じながらもなんでか私が泣きそうになる。

いつも愛情深く寄り添い、大切なことをとてもシンプルにそれぞれに最良のタイミングで教えてくれる。。とんでもなくびっくりする時もあるけど…。

見えない世界、、この世界とは別の世界と私達の間に立ち、いつも導いてくださる。
いつも感謝がつきないし、この終わりの時間はちょっと切ない。。

そうこうしてる間にあっという間にお別れの時間になってしまった。。

改めて感謝をお伝えして、車に乗り込み、愛する場所から出発する。

余韻に浸る間もなく、賑やかな車内に大笑いしながら、レストランに到着して、修行明けの美味しい食事をたっぷりみんなで楽しむ。

Iさんおすすめの絶品料理と、美味しいオリジナルティーが何種類かあって、私も大好きなレストランだ。
ここはブティックも併設されていて、ジャワ更紗の洋服や、バッグ、おしゃれな小物やアクセサリー、インテリアに色々揃っている。

明日は分刻みで動き回って仕入れをどたばたするので、この半日はご褒美時間としてゆったり楽しむことにした。

のんびり過ごしながらの寄り道は久しぶりに都会に出てきた気分になる…本当にあの場所に居たのは2日間だったんだろうか?と思うほど浦島太郎に近い感じだ。

たっぷり堪能してから、疲れることなく再びわいわいと車内で大笑いしていると、いつの間にか初日のホテル近くまで車が戻ってきてた。

ホテルに入りチェックイン手続きをしながら、預けたスーツケースがフロントの奥から出されるのをそれぞれが確認して受け取り、その間に部屋の割り当てもすすめているようだ。

私の名前が呼ばれたので鍵をとりに行く。
フロントで手続きしていたIさんから部屋番号を言われながら鍵を手渡された瞬間、頭から背筋まで凍るかと思うほどぞっとした……

『…同じ…部屋だ。』

初日と同じというだけ…なのに奇妙なほど恐ろしい感覚を感じる。

ひょっとしたらみんなもそうなのかなと確認すると、全員初日とは違う部屋だった。

同じ部屋に泊まることを心身が拒絶しているのか、嫌な感覚しかしない。。

これは偶然なの……?

自分は何にここまでの恐怖を感じているのか…あの薄暗い部屋に引きずり込まれるような、、まだ呪われていた初日に、ふり出しに戻されるようなとても嫌な感覚がした。。

 

つづく

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